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Home / 恋愛 / 強引な後輩は年上彼女を甘やかす / 04_2 初デート 樹side

04_2 初デート 樹side

Author: あさの紅茶
2025-06-25 04:56:17

博物館に着いた姫乃さんは、うきうきと見てわかるほどにはしゃいでいる。

「常設展も好きだけど今は特別展がやってて、見に来たかったの」

嬉しそうな顔。そんな無邪気に笑うんだな。

しかしデートに博物館チョイスとは、なかなかに趣味全開。姫乃さんのイメージとはかけ離れていて、意外な一面に驚くばかり。

「姫乃さん、面白すぎる」

「えっ、また何か間違えた?」

「間違ってないですよ。正解はないけど、行きたいところ、水族館とか遊園地とか言うかと思ったのに、デートで博物館って。渋いよね」

「はっ! でも、デートしたことないからわからなくて……」

ああでもない、こうでもないとブツブツ呟いているが、聞き捨てならないことを聞いた。デートしたことない? は?

「ちょっと待って。嘘でしょ?」

「何が?」

「姫乃さん、デートしたことないの?」

「そうだよ。だから練習したいんだってば。もう、これ以上辱しめないでっ」

顔を真っ赤にした姫乃さんは、俺の背を押して特別展の入口まで行く。相当恥ずかしかったらしく、なかなかこちらを見てくれない。

練習……練習、ね。

デートの練習か。なんだよ、デートの練習って。

だけどそれなら、とことんデートを楽しんでやろうじゃないか。

「じゃあ姫乃さん、デートなんだから俺のことは名前で呼んでよ」

「ええっ!」

「彼氏のこと名字で呼ぶ? 呼ばないよね?」

まあ、俺は練習のための彼氏ですけども。

姫乃さんは顔を真っ赤にしながらも上目遣いになり、小さな声で「樹くん」と言った。

やばっ。可愛っ。なんだこれ。

落ち着け、俺。

「はい、よくできました。じゃあ行きましょう」

自分の動揺を悟られないように、さっさと会場へ入った。

びっくりするほどドキドキしている。名前で呼ばれるのって、いい。
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